叶わぬ恋の叶え方
咲子は二人の後ろ姿を見届けると、もと来た順路をたどって鳥居へと向かう。
普段なら参拝路を覆う青い楓に癒されるけど、今日は胸が刺激されて痛い。
あの病院を退院して以来、酒井先生にまた会えたらいいなと夢想していた。ものすごい偶然にも彼に再会することができたけれど、うれしさよりも切なさが湧いてしまう。
先生は言ってみれば彼の最愛の女性を同伴していた。現実の姿をはっきりと見せつけられて、咲子の胸が切なくなった。
こんなことなら下手に偶然の再会なんかせずに、彼とは会えずじまいでいる方が良かった。
「毎週娘さんの送り迎えをしているんですか」なんてたずねたのは、もしそうだったら神社へ行けば彼に会えるかもしれないという淡い期待からだ。
でも、その直後に彼の娘が登場して、再会の喜びも期待もすぐにしぼんだ。
この出来事で心のモヤモヤに揺り戻しがかかってしまった。これを吹っ切るにはもう少し時間をかけるしかない。