チェンジ type R
 電車の中、座席は空いていてたのだが――私は敢えてドアの横に立つ。
 その方が窓ガラスと自然な形で向かい合わせになることが出来るからだ。

 プシューという音と共にドアが閉まり、私の目の前に窓ガラスが来る。
 その窓ガラスには隼人くんの身体に入った私が映り、その背後には隼人くんの霊の姿が透けて映っている。

――大体は理解してくれたかな?

 隼人くんに問いかけるよう、念じるくらいの気持ちで言葉を心に思い浮かべる。
 こうして心の中で思うぶんには電車の中の他の乗客に怪しまれることもない。
 隼人くんの声にしたって私以外の誰にも聞こえることはないだろう。
 誰に邪魔されることもなく隼人くんの姿が見える場所でさえあればこうやって会話が出来る。

 不便なこともあるが……こういう部分では便利なものだ。

(まあ……大体はな)

 私の問いかけにぶっきらぼうな様子で隼人くんがそう答える。
 俄かには信じがたいけど、そう言いたげな表情。

 自分も幽霊のクセに……素直に聞いておけば良いのに。
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