君想い【完】
車で1時間ほどかかっただろう。
都心を抜けて、
住宅街に入ってから、もう15分は走っている。
さりちゃんの道案内は的確で、
何度も麗の家に行ったことが分かる。
「この先なんだけど。」
長い塀が続き、
木造の門が目に入り車を止めた。
五神田と書いてある、表札を確認する。
さりちゃんがインターホンを押そうとすると、
門が開き麗が顔を出した。
姉貴は終わったら連絡して、と一言残しまた車を走らせた。
「あら、随分大人数。まあ入ってよ。」
玄関までの距離が長くて、
緊張で心臓が破裂しそうだった。
広い庭には大きな池があり、
色とりどりの鯉が泳いでいる。
松の木が何本も並んでいて、
桜の木も目に入る。
和風の母屋の玄関は目を見張るほど大きくて、
それを開けてくれた舎弟の人の瞳が白い事に驚いた。
すれ違った人達は誰もが話しにくいオーラを醸し出していて、
ぶつからないように歩いた。
麗の部屋は2階らしく、
階段を上がって長い廊下の先に部屋があった。
「どうぞ。」