*花は彼に恋をする*【完】

「…俺は玲花が好きだから
ずっと好きだったから
好きな女性の事を目障りだとか
邪魔だと思う訳がない。
玲花が遊んでるなんて
勿論思った事なんてない。
…だから
『いない方がいいのか?』なんて
そんな悲しい事は言わないでくれ。
…俺の前からいなくならないでくれ。
いなくなられたら…俺が困る。」

「………翔英さん。」

「…悪かった。
報宣の時みたいに助けてやれなくて。
赤羽じゃなくて俺が駆けつけて
守ってやれなくて…。
俺が早く交際を申し込まなくて
今までずっと
曖昧な態度をとってしまって…。
今まで不安だっただろ?
女子社員に言いがかりつけられて
罵倒されて辛かったな…。」


その言葉が

私の心にスーッとに染みていく。

不安だった心に光がさす。

「…嬉しいです。
その気持ちだけで…。」

あんな事を言われて悔しかったけど

今の翔英さんの言葉が嬉しくて

私の瞳から涙が溢れた。

彼は片方の手を移動させると

指でそっと涙を拭ってくれた。
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