*花は彼に恋をする*【完】

翔英さんがバスルームへ行った後

…あっ。

無意識とは言え、バスローブ姿で

下着もつけてなかった自分に

我ながら恥ずかしくなった。

慌ててバッグから取り出した

新しい下着を身につけ

脱いだバスローブをハンガーに通し

壁に備え付けのフックに吊るすと

同じくバッグから

お気に入りのパジャマを取り出して

着替えを済ませた。

歯磨きとスキンケアは勿論済ませて

冷蔵庫から出した

ミネラルウォーターを少し飲んだ後

部屋の電気をわざと暗めにした私は

大きな窓に近づくと

中から外の夜景を眺めた。

「…綺麗な景色だな。」

昼間も勿論眺めは良かった。

でも夜はさらに

星空と街のネオンや家の灯りが

キラキラと輝いて

昼間以上の見応えがある。

本当に綺麗で見ていて飽きない。


夏はこのホテルから少し離れた

グラウンドで花火大会もあるって

ホテルの人が言ってたのを思い出した。


「…またいつか翔英さんと
その時に……来れるかな。」


私は空を見ながら小さく呟いた。

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