彼となら、   熱くなれる
θ.灼熱ラブ

・・・最後の温もり

自宅へ帰ると姉の結婚式の日取りが決まっていた。

10月の第3日曜日だ。

私は兄のマンションへ行った。

産休の代理で病院を移ることを兄に話した。

兄は腕を組み、黙って聞いていた。

何を考えているのかしら?

私の言ったことをどう思ったかしら?

「兄さん、私、何か間違ってる?」

「いや、何も。」

兄は私に柔らかな表情を向けてそう言った。

「兄さんのその後はどうなったの?お見合いした女性とは付き合っているの?」

「いや、あれきりだ。」

「どうして?先方に断られたの?」

「そんなようなものだ。」

「そう。」私はそれ以上聞かなかった。

兄も話題にしたくないように見えた。

< 69 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop