雪恋ふ花 -Snow Drop-
休日は適当に食べるので朝食の準備はしていなかったが、ホットケーキミックスがあったのを思い出し、冷蔵庫の卵と牛乳で粉をといた。
1枚目のホットケーキを焼き始めると、珠がソファーの上で身じろぐのが見えた。
「中からチャック、おろして。そしたら、出られるから」
台所からリビングに向かって声をかけると、珠が寝袋からもごもごと脱出してきた。
「おはよう。やっぱり、ネコだ」
「え?」
「タマは、臭覚がネコ並なんだな、きっと」
春人がそう言ってクスクスと笑い出す。
「ちがうよ。それに今、ネコみたいに呼んだでしょ」
ふくれて見せて、珠はこんなふうに普通に会話していることに驚いた。