雪恋ふ花 -Snow Drop-

「おい、大丈夫か?」

「スキーが雪にささって、ぬけないんです」

その小さな女の子が、泣きそうな顔で言った。


「ちょっと待て。今、出してやる」

春人は急いで周りの雪をかきわけ、スキー板の金具をはずすと、女の子に手を差し出した。

「けがはないか? 立てるか?」

「はい」


雪まみれでどうにか立ち上がった女の子は、大きなため息を一つついた。

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