雪恋ふ花 -Snow Drop-
珠がスマホを鞄にしまうのを待って、春人が低い声で聞いた。
「おまえ、俺に嘘ついてるな」
「え?」
「サービスエリアって、聞こえた。友達はまだ宿に残ってるんじゃないんだな?」
「あの……」
「また、置いていかれたんだな? そうなんだろ」
春人の激しい口調に、珠は言葉をなくす。
「ごめんなさい。嘘ついてて」
「俺が怒ってるのはそこじゃない。どこまでお人よしやってるんだって、言ってるの」
「これには事情があって…なんかね、帰りの足がなくなっちゃった女の子がいて、その子乗せるからって…車は四人しか乗れないから…だから……」
「嘘つくの、下手だな」
「え?」
「全部ばれてるよ。どこまで、あいつをかばう気?」
「元はと言えば私が悪いの、だから……」
「スキーのレベルが初級者だからか? パラレル滑れないからか?」
春人は怒りがこみ上げてきて、言葉が止められなかった
「来る前にちゃんと言ったんだけど、素人だって。でも、レンタカーの人数があるからって、連れて来られて……」
「それで、帰りは自分で帰れって? おたくの彼氏、どうなってるの?」