雪恋ふ花 -Snow Drop-

珠がスマホを鞄にしまうのを待って、春人が低い声で聞いた。

「おまえ、俺に嘘ついてるな」

「え?」

「サービスエリアって、聞こえた。友達はまだ宿に残ってるんじゃないんだな?」

「あの……」

「また、置いていかれたんだな? そうなんだろ」


春人の激しい口調に、珠は言葉をなくす。

「ごめんなさい。嘘ついてて」

「俺が怒ってるのはそこじゃない。どこまでお人よしやってるんだって、言ってるの」

「これには事情があって…なんかね、帰りの足がなくなっちゃった女の子がいて、その子乗せるからって…車は四人しか乗れないから…だから……」

「嘘つくの、下手だな」

「え?」

「全部ばれてるよ。どこまで、あいつをかばう気?」

「元はと言えば私が悪いの、だから……」

「スキーのレベルが初級者だからか? パラレル滑れないからか?」

春人は怒りがこみ上げてきて、言葉が止められなかった


「来る前にちゃんと言ったんだけど、素人だって。でも、レンタカーの人数があるからって、連れて来られて……」

「それで、帰りは自分で帰れって? おたくの彼氏、どうなってるの?」

< 54 / 181 >

この作品をシェア

pagetop