士農工商犬猫ドンバ

どうなるんだべ

そんで4月も中頃。俺等、バラバラになって仕事。

ミミはザキのバーキャレで歌謡曲ウタバンあるって泣いてた。 
じゅんさんは横須賀基地で週2とセイガクに週2ヤノピ教えてる。
村さんはザギンで7ピースで吹いてる。

イズミはパチンコの合間に、ターギいじったり曲聴いたり。

俺は水上のテルホに来たのはいいけど、歌謡ショーで軍歌とか
適当にやってたら、ナーテのラリパッパバンマスに文句言われて
最悪だぜ。
なんかっていやあ、すぐカレッパとかラバカンばっか。

まあ、明日であがりだ。早くザキに帰りてえ。

そんな頃、ミミがやッちまった。

「なんなんだこのドンバはよ。シャンソンでも演歌でも演りゃあ
いいじゃねえか。どうせプーチ目当てのウタバンだろよ。
クーキャ選んでる場合じゃねえだろ。かっこつけてんじゃねえよ」

「・・んだとぉ このやろう!」

「ちょいお前等、待てよ。 ミミよお前はさ、半月のトラだから
いいけど俺等は半年ハコで入ってんだ。
言ってんだろ、あのチャンバーは前にチョーテンと揉めてんだ。
ネカはもってるしプーチはいいけど、歌伴で乗らせねえで
とっとと帰らせろってチョーテンに言われてんだ。
チンピラのトコオがいてよ、やべえんだよ」

「あっそう、ハンパなドンバだよな、セーミのいいなりだ。 
あーあ やだやだ。 プーチも貯まらねえよ」

「おい、調子こいてんじゃねえぞ。こっちぁ生活かかってんだ」

「おお俺もよ! だから遊ばねえで、こんなとこまで来て
トラやってんだよ あ~ぁ」

「よぉミミ、そりゃねえんじゃねえか。もり○のおやっさんの
話だから、スーベのボーヤ出してお前入れてやったんだろよ。
あんまり調子乗んなよ」

「あっそうね。わかったよ、バンマスの言う通りやりますよぉ。
どうせ明日であがりだ っへ」

「よお 焼きいれろ!」 

「やめとけ!ステージ行くぞ」


<イズミはじゅんさんとこに遊びに行った>

「いやあ、終わった終わった。 結構音でかいだろ」

おお、それよりゲートですげえチェックだったぜ。
でっけえMPが4人もいて、びびったわ。
お前に会いに来たって言っても、英語だらけの紙に名前とか
住所とか書かされてさ。 うるせえったらねえよ。

「しょうがねえよ。ゲート入ったらポンニチじゃあねえもん」

でもよ、トリカンでこんなでかい音出すとは思わなかったな。
トッパヤイ曲もあるしクーキャはどんな曲でも踊るしな。

いいハコじゃん。 ま一杯やろうぜ、会えてよかったよ。
ミミもこばちゃんも、なんとかしのいでるしさ。
今月はバラバラだけど来月は上海、頑張ってやろうぜ。なっ

「ん・・そんで・・」

どしたのよ、何かあんの?

「今のドンバでさ、来月からレギュラーでやんないかって、
誘われてんだ。 今のがセイガクだから、毎日はできねえし
腕もバイヤだ。 それに、土曜はチェロキーナイツっていう、
モノホンが入るし、トーシロー使って恥かけねえって」

そうか。 でも上海どうすんだよ。

「・・・うん 悪りい・・」

約束じゃんか、皆で上海さ。

「・・お袋のこともあるしよ 3カ月も日本離れるのはさ」

そうか...しょうがねえのかな。


<イズミん家にミミが遊びに来た>

「やっと終わったわ。チャンジーバンドもう絶対行かねえ。
ドイヒよ、最悪、あーあ」

ミミさ、俺きのうじゅんさんとこ行って来たわ。

「おお、じゅんさん元気でやってんの?」

今行ってる横須賀のドンバでさ、レギュラーでやりてえって。

「えっ、どうすんのよ、上海行かねえってこと?」

ああ。 だからお前と相談しようと思ってさ・・・

「何よ、わかってんじゃん。お前のことだからさ、
しょうがねえなって言ったんだろ?」

ん、まあな・・じゅんさんマジだったし、お袋の件もよ・・・

「まあしょうがねえよ。 どっちかっていやあじゅんさん、
俺等とちょい違うしな。 初見ばっちりだけどセンスは
ヤノピの先生ってカンジだし。 まあ、しょうがねえよ」 

まあな。 俺等とシートも違うし、この際いいかなって・・

「イズミ、ブルーんなんなよ。いいじゃんよ、俺だって
そうしたぜ。俺もあがったしさ、グルッぺでも行って
みようぜ、なっ、気晴らしにさ。
誰かいるかもしんねえよ、ターギでもヤノピでもいいし」 

ああ。 こばちゃんにも言わなきゃな。

「奴はじゅんさんあんまりかんけーねえよ。
リズムで揉めてたしな。
イズミさ、お前が悩むこたあねえって。 
俺等はさあ、お前と俺とこばちゃんがいればいいじゃん」

まあ・・そうだな。 三人いれば怖かねえか。へへ

「そうよ。 もう村さんだってわかんねえよ。
ザギンでいくら取ってんか知らねえけど、残るって言う
かもよ。 でもいいじゃん。メンツ探して上海行こうぜ。
日本帰ったら、ちったあギャラあがるべよ」

まーな。 へっへ


<翌日、イズミがジャーマネから呼ばれた>

「おお来たか。イズミ、みんな今月なんとかしのいで
くれてよかったよな。 これで上海チリバツじゃん」

っへ、弱っちいジャーマネのお陰でみんな苦労するよ。

「そう言うな。 俺も頑張ってやってんじゃんかよ」

お前頑張ってんのは、ナオンとチーバク、あとはミーノだけ。 
これで上海ポシャッタら、みんなに殺されんぞ。

「だぁいじょぶだよ。ちゃんと残りのギャラもってきたじゃん」

ったりめえだ。 これ2月分じゃねえか。 俺はじゅんさんと
こばちゃんの分、親父から借りて払ってんだかんな。
いくらドンバだってネカの切れ目は縁の切れ目だ。 

「ああ?ってえことはミミと村さんはネカ余裕ってことか」

ばか、そういうこっちゃねえよ。 
ミミは昔からのダチだし、村さんは頼み込んで待ってもらってる。
じゅんさんは真面目だから払わなきゃ辞める。
こばちゃんはタイコだし辞めたらアウトだ。

「やっぱりな。いまタイコは居ねえしな。
いざって時はカンやヤノピなくてもなんとかなるけど、
タイコいなきゃドンバになんねえしな」

いざって時とか誰が要るとか要らねえとか、何考えてんだバカ。


「へっへえ、実はよ、今度の日曜よ、ちょっとでかいジャンマー
大会があんのよ。ザキの○○さんと組のもんでさ」

だからなんなんだよ。

「そこに俺も入れそうなんだ。まあ、いままではカタギや
トーシローは入れねえんだけどよ、このご時世でヤーさんも
稼げねえらしい」

てめえだってカタギじゃねえじゃねえか、ばーか。

「そこでいよいよ俺も、一世一代の大バクチだ。っひっっひ。
事務所カタに入れてキンシャクしたぞ」 

なにぃ! ばっか野郎この野郎、あほんだらあ!!死ね!

「なんだよ。 イズミにゃ正直に言っとこうって。だってお前、
勝ちゃあツエーセン万だぞ。キャッシュで一千万だぞ。
ナベプロだって怖かねえ。ザキで2・3軒ハコ持てるし
好きなだけロックできんぞ。」

「そんで5人乗りのでかいバン買って、楽器も乗っけてよ。
お前、練習スタジオ持ちてえって言ってたじゃん。
スタジオなんか一発だぜ一発。 モノホンのギブソンだって
2.3本買えるしナオンだってお前、天国だぜ」 

うるせえばかやろ! 

大体お前のチーバクなんか、勝ったためしねえじゃねえか。
マーウだめネーフだめチャリだめ、ジャンマーなんか最悪だ。

勝ったらとか、レバタラで俺等まで巻き込んだらてめえ、
ほんとフクロにすんぞ! このやろ。

「なんだよ。俺だって勝ったことあんじゃんよ。 
藤棚でゲージュー万、野毛じゃあ・・」

うっせえばっきゃろう! 

どうせこのギャラもそのキンシャクだろ。
今のうち上海のスーバンも渡しとけ。 それでもう縁切りだ。

「そう言うなよ。 ユー達しか持ちバンねえんだしよ」

うっせえ。 心中はしねえって言ってんだろ!

「お前さ、俺ががっぽり入ってハコ持ったって使ってやんないよ」

ばあか。 バイヤだよジャーマネ、ほんとバイヤ。ったくよ 


・・・バイヤだ。 ほんと。 どうなるんだべ・・

       -----つづくぜーーーーー
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