その蜜は海のように
「何ですって?」

我ながらとんでもないほどすっとんきょうな声を上げた。

「嗚呼、リィア。領主様は、お前に会った事が無いのにこんなにも愛して下さって......」

両親は大喜びだ。

何故か。


今までリィアの中にあった歓びは粉々になった。


領主など冗談ではない。

まだ領主の妻になった方がましだ。



それに、用意した旅はどうするのだ。


「私に領主何て無理ですわ!務まる筈が御座いません!」

何一つ自分でしたことが無い自分には無理だ。


「まあまあ、政治ならば私たちに任せてくれれば心配ないさ。」

「ありますわ!名前だけでも無理です。」

リィアは、今度こそ旅に出てやると心に決めた。



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