その蜜は海のように
父の書斎は、私の部屋と対の端にあった。

中は、狭いが吹き抜けで天上の遥か上まで書物がぎっしり詰まっている。

「リィア、大変だ。」

「ええ、お父様。領主様がお亡くなりになられたと、お母様に効きましたわ。」

「違うんだ。リィア。」

何が違うんだろうか?

まさか、既に新しい婚約者を用意してあるなんか言い出すのではないか?

「落ち着いて聞いてくれ。領主様の遺書を読んでくれ。」



ー 未来の婚約者リィア ー


君に会う前に先に逝くなんてとても申し訳がない。

どうか、お詫びをさせて欲しい。



私が死んだ暁には、







君が、領主になってくれ。



ー リーゲン=サイア ー
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