傷ついてもいい
「あと、私にも誰か紹介してもらってよお」

「あ、そうだった!うん、言っとくよ」

佳奈は、ごめんと麻衣子に謝り、帰り支度をする。

「よろしくねえ」

バイバイ、と手を振って麻衣子と別れた。

ほとんど学生のいない構内は、余計に寂しさを呼んでくる。

…直己、実家に帰っちゃったのかな…

どうしてるだろうと考えるだけで、幸せになれた。

直己だけが佳奈の心の琴線に触れる気がする。

他の誰にも触れられないし、触れて欲しくなかった。
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