傷ついてもいい
直己に置いていかれるのは、二度目だなあ、と佳奈はぼんやり思う。

食卓に戻り朝食の皿やカップを見ていると、堪えていた感情があふれ出してきた。

もう、本当に終わってしまった。

直己にとって佳奈は青春の1ページで終わるんだろうけれど、佳奈には、一生忘れられない傷になるんだろう。

そしてそれは、やがてカサブタになって何度も佳奈を苦しめるんだ。

佳奈は、さっきまで直己が座っていた椅子に腰掛けて泣いた。

涙が枯れるくらいに泣いた。





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