傷ついてもいい
「仕事、忙しい?」

「いや、大丈夫。俺の優先順位は、佳奈が一番だから」

斎藤は、佳奈の手をそっと握った。

「ありがと」

きっと前の奥さんへの罪ほろぼしの気持ちもあるのだろう。

けれど、佳奈には、それが嬉しかった。

佳奈の気持ちが揺れたのと同じように、斎藤にも迷いや悩みはあったはずだ。

誰もがそういうものと折り合いをあわせながら、現実と向き合っていく。

直己だって柚香だってそうだと思う。

そうやって自分の場所を見つけていく。

佳奈は、斎藤の肩にもたれて幸せを感じていた。




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