傷ついてもいい
「かーなさん」
部屋に戻ってくるなり、直己は、ニヤニヤしながら佳奈のところに近付いてきた。

「なによ」

「さっきの人、かっこよかったねえ。なんか渋い大人の男って感じで!」

やたらとテンションの高い直己が、うっとおしい。

「そうかな?普通だよ」

佳奈は、知らぬ顔で洗い物をはじめた。

「もしかしてあの人といい感じなの?」

「違う、違う!あのね、ご近所付き合いってのも大切なんだよ、大人は!」

言ってから、また大人って言ってしまったと後悔した。

「ほお、ご近所付き合いね」

今日は、機嫌が良いようだった。

いつもの直己だ。

佳奈は、嬉しくなった。
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