傷ついてもいい
ランチからの帰り道。

なんとなく商学部の校舎を通ってみる。

直己は、居るわけは無いけれど。

「食べすぎちゃったねえ」

麻衣子は、お腹をさすりながら佳奈に笑いかける。

「ほんとだねえ」

佳奈も、お腹をさすって笑った。

「相澤くん、よくここで佳奈のこと、呼び止めてたよね」

吹き抜けになっている階段脇で、麻衣子が少し立ち止まる。

階段の上から「佳奈さぁん」と直己は、よく大きな声で呼んでくれて、その度に佳奈は顔がどうしようもなく緩んだ。

「なんか懐かしい」

「過去の人?」

麻衣子がちょっと意地悪に言う。

「そうなってくれればいいけど」

佳奈は、階段の上を見上げる。


学生達でざわめく廊下を歩くと、其処此処に直己の姿が見える気がした。









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