傷ついてもいい
結局、その日は、直己の実家からも直己からも連絡は無く、佳奈は、心配したまま家路についた。

よけいなお世話だとは、分かっていたけれど、迷ったあげく、佳奈は直己の携帯に電話をかけた。


『もしもし?佳奈さん?』


わりと普通に直己の声がして、佳奈は、少し安心する。

「あ、直己、あの。元気?」

『うん、元気だよ』

「どこにいるの?」

『家、だけど』


いつもよけいなことばかりしゃべるくせに、今日の直己は口数が少なかった。

「あのね、今日、事務所からも電話したけど、前期の授業料がね…」

『ほっといてくれないかな?』

直己の声が冷たく佳奈をさえぎった。

「え…」

『俺にも事情があるんだ。悪いけどほっといてくれる?佳奈さんの気持ちもわかるんだけど』


「あ…ごめん…」

『じゃあね』


プッと電話が切れて、佳奈はしばらくそのまま動けなくなった。
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