幸せになる方法〜「ずっとそばにいたのに.....」スピンオフ〜
何でもないように装ってはいたけど、異様に心が躍っているのが、自分でもわかった。

仕事に戻ってしまうのが勿体なくて、窓から顔を出し、手を振っている温人を何度も振り返った。



彼女に名前を呼んでもらえたことが、まず嬉しい。

食事に誘ってもらえたことは、もっと嬉しい。

そして、温人と仲良くなれたことも、彼女に受け入れてもらえたことも、今日、起こったことのすべてが、信じられないくらい嬉しい。



こんな気持ちになるのは、やっぱり彼女に好意を抱いているからなのかな。

親切とか興味とかじゃなく、彼女を特別な存在だと思っているからなのかな。



彼女に見つめられると胸が高鳴るのに、温人を可愛がっている様子を見ると、ほっこりする。

もちろん、仕事仲間として信頼しているし、若い母親として尊敬もしている。

そして、恐らく、一人の女性として憧れている..........



全部、当てはまるから、上手く線引きができない。

彼女や温人と過ごす時間が楽しければ、楽しいほど、自分の本当の気持ちがわからなくなって行く。



ただ、あの二人に喜んでもらいたい、笑っていてもらいたい。

それから、そばにいて、それを見ていたいと思うのは、確かだ。
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