もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


「純麗。おいで」



「何?」



「これ」



いつの日だったか、私の前に差し出された携帯電話。



「いらないよ」



初めての携帯電話に私は手を伸ばさなかった。



幼心に感じるものがあった。



きっと、これを受け取ったら、とーちゃんは私の元から離れてしまうと……



「いらなくても、持ってろ。忙しくなるんだ。これがあればいつでも話せるから」



「帰ってこないってこと?」



真っ白なこの携帯を手にするまでは、とーちゃんは必ず私の元へと帰ってきてくれていた。



朝仕事へ行って、夕食までには家に帰ってくる。



けど……



この携帯は……

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