もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~


「帰ってくる。俺の家はここだからな。けど、遅くなる日や朝が早い日も多くなる。だから、純麗が寂しくならないように持っていてくれ」



そう言っていたのに……



“帰ってくる”と言っていたのに……



この携帯が……



2人の関係を変えていった。



いや、切り裂いた。



その時に言われた約束。



「純麗。今から言うことは大切なことだから、ちゃんと覚えておけ」



「何?」



「もしも、俺の助けが必要になった時、」



この時は、なんとなくとーちゃんの話を聞いていた。



「携帯で“助けて”って言えない時は誰にも気付かれないように俺に電話をしろ。そして、ずっと通話中にしておくんだ」



とーちゃんは何言ってるんだろう?



って、なんとなく聞いていた話が、今役に立っている。



「で、純麗の居場所を伝えろ。その方法はその時に考えるんだ。わかったな?」



「う、うん」

< 172 / 342 >

この作品をシェア

pagetop