もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~
普通なら、電話をかけたタイミングに相手が出てくれるなんて確率は2分の1か、それ以下だと思う。
勉強なんてしたことのない私にはよくわからないけど、兎に角確率は低いって私は思う。
それでも、とーちゃんは携帯の向こうに居てくれるって信じていた。
携帯を持たされてからは、とーちゃんが言っていたように、1人で過ごす時間が増えていった。
寂しくて耐えられなかった私は携帯でとーちゃんに連絡ばかりしていた。
始めはくだらない私の話に付き合ってくれていたものの、それも次第に減っていった。
そして、私はとーちゃんの携帯を鳴らす事をやめた。
それから、何年かな?
私から連絡をしたことはただの一度だってなかった。
だから、信じていたんだ。
私からの着信は特別なんだって、とーちゃんが思っていてくれることを……
そして、あの約束をとーちゃんが覚えてくれていると……
願望が確信に変わった今、何年も満たされなかった想いが、溢れだして零れてゆく。