もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

普通なら、電話をかけたタイミングに相手が出てくれるなんて確率は2分の1か、それ以下だと思う。



勉強なんてしたことのない私にはよくわからないけど、兎に角確率は低いって私は思う。



それでも、とーちゃんは携帯の向こうに居てくれるって信じていた。



携帯を持たされてからは、とーちゃんが言っていたように、1人で過ごす時間が増えていった。



寂しくて耐えられなかった私は携帯でとーちゃんに連絡ばかりしていた。



始めはくだらない私の話に付き合ってくれていたものの、それも次第に減っていった。



そして、私はとーちゃんの携帯を鳴らす事をやめた。



それから、何年かな?



私から連絡をしたことはただの一度だってなかった。



だから、信じていたんだ。



私からの着信は特別なんだって、とーちゃんが思っていてくれることを……



そして、あの約束をとーちゃんが覚えてくれていると……



願望が確信に変わった今、何年も満たされなかった想いが、溢れだして零れてゆく。

< 180 / 342 >

この作品をシェア

pagetop