もうスキすぎて~ヤクザに買(飼)われた少女~

バスタオルで体を拭きながら、時計に目をやると……



透が眠ってしまってから、もう30分が経っていた。



「もう少し寝かしておこう」


と独り言を言いながら、大きな鏡の前に並ぶ、化粧水に手を伸ばす。



化粧を落とした顔は童顔過ぎて好きじゃない。



目が二重なのはいいけれど、低い鼻に厚ぼったい唇。



鏡を見るたびに、美人顔に生まれてきたかったなとため息が出る。



透が起きる前に、少しでも子供臭さが抜けるようにメイクを念入りに……



そして、完成した顔を見ると、少しだけ落ち着いた。



そして、この世の中に“化粧”というものが存在することに感謝したい気分になる。
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