バスボムに、愛を込めて


顔つきは昔からほとんど変わってないのに、いつの間にか男の人に変わっちゃった孝二。

寂しいけど、いつまでも“今まで通りに”とはいかないのかもしれないね。

だったら一人の女として、あたしからケジメをつけなきゃ。


「ねぇ、孝二」

「ん?」

「……あたしは、こんな風に落ち込んでる今でも、やっぱり本郷さんが好きなの。たぶん、地球がひっくり返っても、この気持ちは変わらない」


きっぱりと、よどみなく言い切ったあたし。

孝二が眉根を寄せ、視線をアスファルトへ落としてしまったのを見て、自分が傷つけてしまったのだと思うととてもツラかったけれど……

誰も傷つけずに恋なんかできないと思うから。
あたしは、それでも本郷さんへの想いを貫きたいから。


「……なんで」


孝二はひと言そう呟き、大股であたしのもとへ近づいてきた。

そして、痛いほどにきつく、あたしを広い胸に抱き締めた。

嗅ぎ慣れた懐かしい香りと、最近知ったばかりの大人の男の人の香り。

それらが入り混じった、あったかいこの胸を、あたしは突き放さなきゃいけないんだ。


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