バスボムに、愛を込めて


“不潔女”と言われただなんて、なかなか他人に話す勇気が出ない。

しかも非があるのはこっちだから、慰めてもらうわけにもいかない。

だからこうしてジメジメするしかないんだ。ああ、そのうちカビはえそう……

小さな丼に入ったかけうどん一杯すら完食できずに箸を置いたあたしに、寧々さんとお嬢は顔を見合わせてため息をついた。


幸い、バスボムの方はほとんど基本の形や効能が決まってきていて、あとは一番いい配合、それからパッケージについて、チーム内で実験と話し合いを詰めている最中だ。

本郷さんとも表面的にはうまくやっている。けれど、本当に表面だけ。

仕事上必要なこと以外会話はないし、彼はあたしの目を一切見ようとしない。

本郷さんがそんな態度だから、電話やメールをしてみる勇気が出るはずもなく、あれから一度もちゃんと話せないまま、時間だけが無情に過ぎていった


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