バスボムに、愛を込めて


『本郷だけど』


――ホンゴウ? あたしはしばし黙り込み、自分に電話を掛けてくる用のありそうな“ホンゴウさん”を美萌脳内タウンページで検索する。

だけど、そんな人はいない。

ホンゴウと言ったら愛しの彼の苗字だけど、彼があたしに連絡してくるなんてことがあったら、嬉しくて死んじゃうから困るし。


『聞いてるのか? これ……羽石の携帯だよな?』


羽石という呼び方も、その冷めた声も彼にそっくりだけど、いくら妄想癖の激しいあたしだからって、いきなり本郷さんから電話が来るなんてそんな都合のいいことあるわけ……


『なんとか言え、キムチ女。さっさと用件を伝えて切りたいんだから』


え、キムチ……って。しかも彼の発言に、あたしのドMハートがきゅぅぅんと反応してる。

これはもしかして、もしかするの――!?


「あ、あ、あの、本郷さんって、超超超イケメンなあたしの先輩の本郷瑛太さんですか?」

『……なんで俺はこんな変な奴と会話しなきゃならないんだ。とりあえず名前だけは肯定しておく。……さっさと用件を言うぞ』

「だ、だ、誰にこの番号を?」

『葛西』


きゃぁぁぁ〜〜! 寧々さん、ありがとうございます!

羽石美萌、嬉し死に確定です!

短い人生だったけど、最後はとても幸せでした。

ああ本郷さん、あたしが死んでも泣かないで下さいね。あなたの悲しむ顔は見たくありませんから……


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