バスボムに、愛を込めて
「三十分前から待ってますね、だってー。健気だねぇ」
なんとまだ孝二はそこにいて、廊下の壁にもたれながら馬鹿にしたような口調でそう言い、あたしをからかってきた。
「……盗み聞きとか最低」
そう言って孝二の目の前を横切ると、手首をつかまれ今度はまじめな顔をした孝二に聞かれる。
「なぁ、今のがデートの相手?」
「孝二には関係ない」
冷たく言ったあたしを、孝二は無理矢理自分の腕の中に閉じ込めた。
もう……またこういうこと……困るよ……
「関係大アリ。そいつとはライバルなわけだしね」
「ライバル……って。本郷さんのことはただあたしが片想いしてるだけだから別に……」
「ふーん、本郷っていうのかそいつ」
「あ」
あたしのばか! 与える必要のない情報をやすやすと……
「片想いなのになんでデートすんの?」
少し身体を離した孝二が、心底不思議そうな表情で聞いてくる。