バスボムに、愛を込めて


どうやら負のスパイラルに陥ってしまったらしいあたしは、バスを降りて爽やかな潮風に吹かれても、うつむきがちに歩いていた。

バスから見えていた水平線は砂を防ぐ松林に隠されてしまって、テンションは下がる一方。

そんな中、本郷さんの履いてる真っ白なスリッポンだけを目印に海沿いの歩道をとぼとぼ歩くこと数分。

気が付いたら本郷さんが自動ドアをくぐっていたので、あたしはふと顔を上げる。

そこは、水色がトレードマークのコンビニだった。


「……まさか」


あたしのお弁当を断っておいて、ここで食糧を調達するつもりじゃ――

それを確認するのが怖くて、あたしは店内に入る勇気が出ず駐車場でずっと彼を待っていた。

そこが空(す)いているのをいいことに、車止めの石に腰かけ、足をいっぱいに伸ばしてぼんやりと空を見つめる。

快晴……だ。ああ、なんか今のあたしにはこの青さが眩しすぎる。

そうしてしばらくするとまたしゅん、と下を向き、アスファルトをせかせかと歩く蟻を意味なく見つめていた。


「ありがとうございましたー」


背後で自動ドアに開き店員さんの声が聞こえたと思ったら、あたしの傍らに白スリッポンが戻ってきた。

かさかさと、ビニールの揺れる音がする。一体何を買って来たの……?


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