陽染
「堅そうで、黒くて、こうツルッと…」
「クス、何だろうな」
「お前、知ってるのか?」
「知らない」
僕達は無能だ。
でも、この下世界には、2人だけ物知りな男がいる。
“シマキ”と“ゴンドリ”だ。
シマキはもう皺だらけの老人で、一番この下世界にいる人だ。
彼は話を終えるたびに、「わしゃ、もう本当に必要のない生き物じゃい…」と言う。
大抵の人は皆、上へ連れて行かれて、実験と言われる試しに使われたり、労働って言う、動かされたり、一番酷いのはただの遊びらしい。