Re : Birthday





僕の、1年は。




「そうだ。1歳、年をとるね」




陽と雪に照らされて。凍えた情景に、少年は染められ、融け始めた。
少年は無色のはずなのに、独特の色をまとっていた。




「君の誕生日はいつ?」

「知らない」




造り物の画なのか、とも思わせてしまう彼の美しさは、しかし頬に当たった雪が溶けて水滴になったから、彼がちゃんと温度を持った生き物なのだと分かる。




「俺は自分の誕生日、しらない」

「そう」




少年はどこまでも無色だった。

それでも透けていないことが、少年が今ここに存在している証明だったのだ。





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