Re : Birthday





彼の眼には、きっと一瞬しか焼き付かない景色だろう。

きっとすぐに、記憶の果てに追いやられて、墜ちていってしまうのだろう。この言葉は。




「今年のじゃないよ。今までのさ」




美しい、灰色の瞳孔を開いて見せてくる少年のこの表情を、僕の言葉は造ったのだ。
だからできるだけ、覚えていてほしかった。


また、時計が時を導いた。

もしかしたら僕たちの話に、ない耳を傾けているのかもしれない。




「一昨年も、去年も、あと今年も、来年も、再来年も、おめでとう」




できるだけ、いま僕の瞳に染み込んできているこの情景を、少年にも刻みつけていてほしかった。

できれば、永遠に。





「今日がずっと、君の誕生日だ」






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