Re : Birthday
背が高い、煉瓦の時計台に身を預けるようにしてうずくまっている無表情の少年は、自分より5つほど年下だろうか。
何してるんだろう。こんな所で。
「どうしてこんなところにいるんだい?」
「………」
「他のみんなは? 友達は?」
温度を持たない瞳に、色を成さない表情。僕の真っ黒な髪と違って、陽の光で透けてしまいそうな、繊細な銀色の髪。
「……お前は、誰なんだ」
歳のわりに大人びた話し方としぐさをする。声にもやはり、感情はない。
寒そうに蒼のマフラーに顔を沈めた。
1日数分しか進まない針がカチリと、確かに時を刻んだ。