花壇葬
ある眠れない夜、キッチンに水を飲みに行くと小太郎が起きてきて、後をついてきた。
「起こしちゃったね、ごめんね。お父さんのところにお帰り」
そう言った後も小太郎は部屋までついてきて、布団の足元のあたりに丸まった。どうやら添い寝をしてくれるつもりらしい。
小太郎を撫でながら僕は考えた。孤独に眠る夜を怖がっていた小太郎が、人の感情の機敏、孤独を感じ取り、慰めるまでになった。犬の成長はあまりに早い。生涯はあまりに短い。僕らはあとどのくらい、一緒に過ごせるのだろうか。
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