地の棺(完)
女性はセミロングの髪を緩く巻き、黒のキャミソールに白いミニスカートを穿いている。

胸元に男性と同じ、シルバーのクロスペンダントを付けていることから、二人は恋人同士なのかもしれない。


「彼らは快の友人だ。
大学卒業後、長い夏休みを過ごしている」


三雲さんは少し不機嫌そうに言った。

その言葉に男性が食事の手を止める。


「いいっすね。その紹介最高」


口調のわりに鋭い目つきで三雲さんを睨みつける男性と、冷ややかな三雲さんの視線がぶつかる。

一触即発といったただならぬ雰囲気を発していた。


「シゲ。本当のことだろ?」


そこに割って入ったのが快さんだ。

男性の隣に立ち、肩を抱く。


「蜜花ちゃん、こいつシゲって呼んでやってね。
俺たち三人、二十七歳の無職集団なんだ。
いつも暇してるから、今度一緒に遊ぼうね」


快さんは、シゲさんの顔を無理やりわたしに向ける。

そうすることで、かなり強引だが険悪な空気を変えた。

ほっとして胸をなでおろす女性と、全く表情の変化がない桔梗さんと雪君。

神原さんはこういう状況に慣れているのか、我関せずといった顔で食事をしていた。


「……次に亘一、立ちなさい」


三雲さんは快さんとシゲさんから不快そうに視線を外し、雪君の隣に座る男性へ話しかける。
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