あの人は俺たちの兄だった。

「なんで、なんで臣さんが謝るんだよ。臣さんは・・・兄さんは俺たちのために頑張ってくれたんでしょ?
確かに俺たちは苦しかった、でも臣さんは自分が兄だって言えなくてもちゃんと“兄さん”でいてくれた。
俺は、それだけで嬉しい」



そう、臣さんはいつでも俺たちの兄さんだった

いつでも俺たちのそばにいて俺たちを支えてくれた“ヒーロー”だったんだ



「臣兄、ありがとう。もう、俺たちは待たなくてもいいんだよね?」



そういった葎に臣さんは泣きそうな顔をして笑った



「あぁ、もう待たなくていいよ。これからはずっと一緒だ、ただいま梓、葎」

「お帰り、兄さん」

「おかえり、臣兄!」



俺たちのヒーローは帰ってきた

兄さんは俺たちのもとに帰ってきたんだ







“もう俺たち二人じゃない”







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