【ミドリガメ日記】みーちゃんと私
「さあ! 亀さん達の名前、決めたわよ!」
昼食の後、美智子お母さんが、張り切りボイスで、高らかにそう宣言した。
普通、ペットの名前って、子供に付けさせると思うんだけど、伊藤さんちでは違った。
そう、あの素晴らしいネーミングセンスの持ち主は、何を隠そう『美智子お母さん』だったのだ。
「じゃ~~ん!」
緑のクレヨンで名前が書かれた広告の裏を、『えっへん』と、お母さんが子供達に掲げて見せる。
「さあ、みーちゃん。読めるかな?」
「うん!」
嬉しそうに、みーちゃんが読み上げる――。
「大きい亀さんが『でかでか』ちゃん!
小さい亀さんが『ちびちび』ちゃん!」
「はい。良く読めました! これからは、名前で呼んであげようね」