不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「特別だ、って言ってんだ」





ーーーーーーーー……………




雲ひとつなくて、日射しはわたし達の肌を強く突き刺すくらいの、晴天の空。





もうちょっと雲があってもよかったんじゃないの…?
って、空に向かって問いかけたいくらい。






これ以上ない、プール日和。






「日焼け止め塗ってきたけど、これ絶対焼けるー…」






あれからあっという間に時は過ぎて、今日は5人で新しく開園されたプールへ。






相変わらず……
颯真と悠里は仲がいい。
だけどどうやら、2人はまだ付き合ってないみたい。





わたしにはもう……2人を気にする理由は、ないはずなのに。





まだ無意識で目で追ってしまうわたしは、相当の愚か者。
たまに颯真と目が合うと、わたしは自然と目をそらす。
……その繰り返し。






もちろん、悠太くんとのことも真剣に考えてる。
何度か放課後にご飯を食べに行ったり、買い物に出かけてーー
前よりも、悠太くんのこと、分かってきた気がするんだ。






悠太くんは、意外と好き嫌いが多いこと。
生のイチゴは食べられるけど、イチゴミルクとか、加工品はダメみたい。
フルーツサンドとかも、ダメなんだって。
美味しいのに。





それとーー
買い物に出かけた悠太くんは、意外と衝動買いが多い。
わたしは慎重になるほうだから、少し羨ましかったりする。






颯真も慎重な方だったから、そんなに潔くお金を出して買う人が新鮮で。
悠太くんとの買い物は、すごく楽しいんだ。







「…………………………」






きっと、わたしと悠太くんは相性がいい。
だけどこれが恋になるのはーー
まだわたしの中に何かが、足りない。






その"何か"って……なんなんだろう。






「お前、なに塗ってんの?てか、どんだけ塗ってんだよ。」







行きのバスの中で、再度腕に日焼け止めを塗りたくるわたしに、席が隣の颯真はずいっと顔を寄せて。






「日焼け止め…。
焼けたら困るし。」





「え?お前、日焼け止めとか塗るキャラか?」





「はぁ!?どういう意味よ!」






「そのまんまの意味だろ!」





思わず拳を握るわたしに、颯真はわざとらしく自分をガードしながら楽しそうに笑った。





(あ……)






その笑顔で、わたしの顔も緩んでしまうんだ。






…………いつも。








< 112 / 190 >

この作品をシェア

pagetop