不器用恋愛~好きな人は幼なじみ~
「颯真くんっていい人だよね」
ーーーーーーーーーーー…………



「明里!
ちょっと待って…早い…置いてかないで…」



「置いてってないよー。
まだまだ序盤だよ?
がんばって!佐奈。」



山道の途中で根をあげ始めた佐奈にエールを送りながら、わたしは佐奈の一歩前を歩く。



今日は課外活動のキャンプ。



学年のイベントなこともあって、
長蛇の列で山道を登る。



「明里ってさ…
かわいい顔しながら体力あるよね…」



「そー?
別に鍛えてるわけでもないんだけどね。」



たしかに、自信がないわけじゃない。
幼い頃は、よく颯真の前を歩いて、颯真を引っ張ってたくらい。
だけど、今はそんなことも当然ない。



「颯真君、もうあんなとこにいるよ!
はやっ!」



目線をあげると、山道も遥か遠くに颯真らしき人影が見えた。昔は違ったのに…今はもう、男の子にはかなわない。



それが寂しくて……



同時に、男の子である事実を、妙に意識してしまうわたしがいた。


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