しっとりと   愛されて
「なぜ?」

「付き合うかどうかを決めるために、付き合うなんて、変です。」

「そんなに深刻なことじゃないよ。それとも他に何かある?」

「いえ、何もありませんけど。」と私は口を濁した。

まさか、フィギュア模型にはまっているとは言えなかった。

しかもキャラだなんて、とんでもない。

頭がおかしいヲタクだと思われちゃうわ。

本当のことだけれど。

「じゃあ、決まった。今日定時に上がったら食事に誘いたい。地下の駐車場で待ち合わせよう、いい?」

「は、はい。」

「ありがとう、楽しみだ。」

私は当分の間、フィギュアから彼へ、悩みの種が変わり、ショックを受けた。

心の中で一人涙した。

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