代償 2nd mean

ピアス。

小さい文字で、
「………前橋組?」
書いてある。
「ざんねーん。ちょーっと違うなぁ」
氷族長がピアスを私の手からとる。

「『前橋 紫漣(しれん)』だよ」
………しれん?
前橋?
「前橋組の創設者だね。1代目だよ」

前橋 紫漣。
24歳の時に、前橋組を創設。
まだ、名もない暴走族。
警察も警戒する、まともじゃない組。
『治安維持だね、僕らの役割は』
と、前橋組は治安維持に関わるようになり。
とりあえず。
『他の組を潰して、前橋組が総長を名乗らなきゃ』
と、前橋組は他の組を潰した。
それで。
『さぁて』
と、ここら一帯を統一。
頂点に君臨した。

………という、逸話の持ち主らしい。
「紫漣総長はねぇ~。会いたかったなぁ」
キャーラがフォークをくわえて言う。
「まだ下時組も氷北組もなかったね」
「うん。ここらでは、前橋組の歴史が最も古いから」
「………お爺ちゃん暴走族?」
「うわぁ、文ちゃん、酷いなぁ!」
若いんだけど!!
僕!
キャーラのブーイング。
………はい。
若いね、君。
ほとんど歳、同じようだし。
「紫漣総長、どうして死んだんだろ」
「歳だろ」

………何て話を。
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