解けない恋の魔法

　そんな私に雑誌の取材オファーが来たのは一ヶ月ほど前だった。
　取材側がどこで私のことを知ったのかはわからない。
　だけどなぜか私を名指しで指名してきたようだ。

『いいじゃないか、朝日奈。会社にとっても良い宣伝になるし』

　私の上司である袴田(はかまだ)部長は、その話を聞いた途端に大賛成した。

『いや…でも、部長…』

『働く女性特集の記事だってさ。朝日奈が美人だからオファーが来たんだよ。大丈夫だって！　それにもう取材ＯＫの返事をしちゃったからなぁ』

『え、えぇ～？！』

　否応なく、とは……まさにこのことだ。
　私が断ろうと思ったときには既に部長が先方へ返事をしてしまったあとだった。
　しかも、美人だから、などと取って付けたようなお世辞まで言って。
　ニコっとした笑みを向ける上司を目の前にして、力なくガクリとうな垂れたのを覚えている。