引き立て役よさようなら(番外編追加)

初めてのBar

店を出ると男は立ち止り、黙っていなくなるのは相手に失礼だから
せめてメールだけはいれとけよと言った。
優花はスマホを取り出すと、
美由紀に『急用が出来たから先に帰る』とメールを送ると、
電源を落とした。

男は何やら誰かに電話をしているようだった。
男の後ろ姿があまりにも細く、思わず自分の体系と比較してしまった。
電話が終わったらしくジーンズの後ろポケットにスマホを入れると
おい!行くぞと声を掛けられた。

一緒に店を出たが、そこで解散と思った優花は、男の言葉に驚いた。
時計をみるとまだ9時半を少しまわった頃で、居酒屋の前を多くの人が歩いている。
「あの・・・」
「なに?」
男は早く歩きたがっている様子だった。
「行くぞって・・・何処行くんですか?」
引き立て役の優花にとって、男から行くぞと誘われることがめったにないため戸惑ってしまう。
「飲み直しに行くって言ってんの。・・・ほら早く」
男はポケットに手を入れ「来い」と顔で指図した。
優花は言われるがまま男の後を付いて行った。
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