身代わり王子にご用心





倉庫に閉じ込められた、だなんて。あまりに事が大きくなりすぎやしないか、との懸念もあった。


出来れば穏便に済ませたい。あの人達に睨まれたくない……そう思考が逃避したけた瞬間、私の中である言葉が浮かんだ。

“相手の言いなりになるところのどこが、逃げじゃないと言える?”


“そうやって戦わずに、流されて言われた通りにすれば。そりゃ楽だよね。自分で考えて行動したんじゃないんだから。
だから、アンタは誰かに餌を与えられるのを待ってる犬と同じなんだよ”


胸の奥まで深々と突き刺さっていた“彼”の言葉が、思考を放棄しようとした私を踏みとどまらせた。


(……いくらなんでも、あれはない。現に私は酷い風邪を引いたのだから、悪意を持った悪戯なら。犯罪にも等しい行為なんだよね)


私はグッと手のひらを握りしめ、数度躊躇いながらも桂木さんに面と向かって話し出した。


「桂木さんにお話ししておきます。1週間私は誰かに閉じ込められました」

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