君の全てが欲しいんだ
あれから、3週間、―――――。
もう、有紗の拘束は、外してある。
この部屋の中なら、自由に移動するのも可能だ。
ただ、――――。
恐怖で縛りつけた僕を恐れて、なのか…。
本能的に、逃避しようとしているのか…。
有紗の性格に、小さな子どもが見え隠れする。
だけど、これは、僕にとって、嬉しい誤算。
僕の姿が見えなくなると、不安からか、泣き出してしまうのだから。
まるで、母鳥の後を追いかける、雛鳥のようじゃないか。
ははっ。
なんて可愛いんだろう。
このままずっと、僕の腕の中で生きていればいい。
「はい、これ。」
「これなあに?」
「この通りに話せばいいから。」
どう聞かれてもいいように、レポート用紙に纏めた会話文。
少しくらいおかしかったって、実の娘が喋ってるんだ。
どうにか、なるだろ。