調導師 ~眠りし龍の嘆き~
第七章 導きの光り
‡〜捕われ〜‡

声が聞こえる…

声と呼ぶには不確かな響きだけれど…

呼んでいる………




光りを感じる…

遠いけれど確かに感じる光り…

探さなければ…

調べを聴き…




導きの光りは灯っているのだから………




目を開けると、先ず鈍い痛みが感じられた。
脈打つよいに痛むお腹を押さえながら、身体を起こすと、そこは広い畳の敷き詰められた部屋。
中央にポツンと敷かれた布団に寝かされていた。

「目が覚めたか」

後ろから掛けられた声に鋭く振り返り、その人物を睨みつける。

「そう警戒するな。
私とお前は従兄妹だぞ」

その男は、着物を適当に着流して、優雅にこちらへと嘘臭い笑みを浮かべながら歩みよってきた。

「従兄妹?」

立ち上がり、距離を縮めないようにそろそろと後退する。

「そう。
君の父は私の母の弟にあたる。
異母の姉弟になるがな。
だが、まぁ間違いなく従兄妹だろ?」
「…」

男は歩みと止め、面白い物でも見るように小馬鹿にした笑みを浮かべる。

「君を呼んだのは、他でもない。
私と結婚してもらおうと思ってね」
「っ…何を言っている?」
「調べたよ。
君は力を持っているよね。
それも相当大きな力だ。
今の一族には残念ながら君ほど大きな力を宿した者はいないんだ。
だから、当主である私が君と結ばれることで、再び一族に力を取り戻そうというわけだ」
「当主っ…あなたが?
随分勝手な事を言うのね」
「当主だからね。
勝手が許されるんだよ」
「バカじゃないの?
そんなこと私が、はいそうですかと承諾すると思うの?」
「なぜ承諾できないんだい?
光栄なことだろう?
当主の妻になれるんだよ?」
「ハッ。
人を馬鹿にするんじゃないわよ!
あんたみたいな人生何となく生きて、ちやほやされていい気になってるような人ッ。
ごめんだわッ!」




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