裏腹な彼との恋愛設計図

プランナーの苦悩



翌日から新科店に通い、時間がある時は病院に寄る日々が始まった。

父親の身体も順調に回復していたが、炎症が少々重かったため、退院までに二週間ほど掛かる。

偶然近くに通うことになったのは、本当にタイミングが良かったな。


新科店では、顔見知りの人も多いからすでに馴染めている。

例の新人の原田さんと、常に一緒に打ち合わせに参加し、アドバイスを行う毎日だ。


「あれ、このフローリングの色、この間ライトブラウンに変更してくれって頼んだはずなんだけど……」

「えっ!? あ、すみません、すぐ確認します!」


打ち合わせ中、お客様に言われてあたふたする原田さん。

こうやって施工主の方から指摘されることはもちろん俺にもあるが、彼女の場合はその頻度と、内容も大きなミスに繋がってしまいそうなものが多い。

教育係を任されて数日、問題点はすぐに見付かった。


「原田さん、ちょっといい?」

「はい」


お客様を見送った後、もう一度打ち合わせスペースへ戻って話し始めた。


「製品の特徴とか、価格とか、原田さんが頑張って全部覚えようとしてるのはわかる。それももちろん大事だけど、アンタはもっと肝心なことが疎かになってると思う」


彼女は息を呑んで、俺の次の言葉を待つ。

< 238 / 280 >

この作品をシェア

pagetop