幸せにする刺客、幸せになる資格
★家族とは~side NORI~
寝ずの朝を迎えた。
でも不思議と体に疲れはない。
むしろ充足した感覚だった。

亜香里は仕事に行った。
それでも土日は手伝うと言ってくれた。

今日はひとりで摘果の作業。
爺ちゃんは具合が悪く、婆ちゃんが付きっきりだから。

そう思って外へ出ると、車がうちの前に止まった。

下りてきたのは、亜香里の両親と、お兄さんの脩さん。

「おはようございます。どうしたんですか?亜香里なら仕事に行きましたけど」

そんな僕の疑問に、お義父さんが答えてくれた。

『今日から摘果作業だろ?私達で手伝いに来たんだ。蜂矢の爺さんも具合悪いと聞いているし、週末に亜香里や手伝いの妹さんも来るとはいえ、平日1人ではキツイでしょう』

脩さんは、今日は休みだと言う。

「いや、でも、貴重な休みなのに・・・」
『遠慮するな。俺達は"家族"なんだ』

脩さんの言葉にお義父さんとお義母さんも頷いた。

「ありがとうございます」
『ちなみに私達3人とも、近所のりんご園の摘果作業は手伝った経験があるから、人としては使えると思うぞ。摘果用のマイはさみも持参だ』

3人の手伝いと、週末の亜香里や紗英たちの手伝いもあって、摘果作業はいつもの半分の期間で終わらせることが出来た。

"家族"の有難さを、亜香里と結婚したことで感じることができた。

僕は、亜香里を幸せにすることが、亜香里の両親への報いだと思った。
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