幸せにする刺客、幸せになる資格
私は翌日は仕事。
ノリに至っては、摘果作業の初日だと言うのに・・・

避妊はしなかった。
そのままのノリを受け入れたかったから。

『亜香里・・・愛してる。これからも一生、言い続けるよ』

結局、全く眠らないで互いの体を貪り、大和くんを起こす約束の時間を前に私達は体を離した。
それでもまだ、名残惜しかった。

『結婚式が終わったら、どうなっちゃうんだろうな』

夢中になり過ぎて時間を忘れてしまっていた私達。
時計を見たノリが苦笑いしながら言う。

「そうね。寝不足の毎日かも」

こんな寝不足なら、私は歓迎。
でも仕事にならないか。

シャワーを浴びて着替えて、大和くんを起こしに行く。
いつもはもちろんノリがやっていることなんだけど、今日は私がその役目を果たした。

『あ、亜香里ちゃん。おはよう』

大和くんがスッキリ起きてきた。

『お風呂入っていたの?お父さんの部屋の中、暑かった?』

私の髪がやや濡れていることで、大和くんは分かったみたいだ。

大和くんが言っていることは正しい。
ただ、"暑かった"のではなく"熱かった"んだけどね。

多分あと4、5年もすれば私達が部屋で何をしているかが分かる年齢になるだろう。

そんな時が来ても、私は大和くんとノリと一緒にこのりんご園を盛り上げたい。

そう改めて誓う朝だった。
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