さくら町ゆめ通り商店街~小さなケーキ屋さん~
第2章 ビンボー脱出大作戦

1 麻理

一時間後、友人の麻理の家にいた。

出窓に花柄のカフェカーテンがかかっている、明るいダイニングキッチン。

中学の受験勉強のために、あたしたちは、時々、一緒に、このダイニング・テーブルで勉強をしたものだ。

今でもその習慣が残っているのか、それとも飲み物がすぐに取り出せるからか、麻理の家では、よくこのキッチンのテーブルでおしゃべりした。

麻理の家は内科の医院を営んでいる。

お母さんは、その医院で受け付け事務を担当しているから、今は家にいない。

本来は、これから、北海道旅行の計画を練る予定だったのだ。

楽しいひととき……のはず、が……

とんでもないことになった。
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