薬指の秘密
第1章
12月は、いつも通り鈍感に
「あれ」
12月のとある昼間
回診を終えて医局に戻ったしるふは、隣の席が空だったことに足を止める
一緒に回診に出て、途中までその姿は視界の端をちらつき、
あるいは聴覚を刺激していたというのに
「医局長、黒崎先生知りません?」
「ああ、黒崎先生ならさっき小児科の子供たちに連れて行かれたわよ」
「小児科の…?」
ああ、そうかもうそんな季節だものな
合点、しるふはこくこくと頷く
「背高いからねー、黒崎先生は」
「ああ、確かに」
なんて神宮寺笑いあったけれど、あの2メートル以上もあるモミの木は、
いくら海斗が背伸びしたって届かない
「じゃあ、外来診察終わったら覗きに行ってみようかな」
聴診器片手に再び上ってきた階段を下りる
12月のとある昼間
回診を終えて医局に戻ったしるふは、隣の席が空だったことに足を止める
一緒に回診に出て、途中までその姿は視界の端をちらつき、
あるいは聴覚を刺激していたというのに
「医局長、黒崎先生知りません?」
「ああ、黒崎先生ならさっき小児科の子供たちに連れて行かれたわよ」
「小児科の…?」
ああ、そうかもうそんな季節だものな
合点、しるふはこくこくと頷く
「背高いからねー、黒崎先生は」
「ああ、確かに」
なんて神宮寺笑いあったけれど、あの2メートル以上もあるモミの木は、
いくら海斗が背伸びしたって届かない
「じゃあ、外来診察終わったら覗きに行ってみようかな」
聴診器片手に再び上ってきた階段を下りる